桜について思うこと

私の家の周りの桜も少しづつ散りつつあります。若いころ、特に二十歳前後の頃は、桜が満開になると胸が締め付けられるような、なんとも切ない気持ちになっていました。

当時、不本意入学だった地元の大学を辞めることにして、再受験のため自宅浪人をしていました。美しくも儚い桜が、自分の将来について悶々と悩んでいる私の心に妙に響きました。

受験勉強の中で出会った西行の詩。彼は桜に関する詩を沢山作っています。中でも当時の私の心に響いたのが、『世の中を思えばなべて散る花のさてもわが身をいずちかもせん』です。

何物でもない自分、将来に対する漠然とした不安、などこの歌に激しく共感できました。桜=なんとも言えない不安。

今、定年退職を迎える年になると、20歳の頃のヒリヒリした不安は全くなく、桜を見ても昔のように心を揺さぶられることもありません。ただ美しいと思うだけです。

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