浮遊感

初の木彫りは魚だという話を以前紹介しました。あの頃は技術も何もないので、やっとかさ彫れるのは真っすぐな魚ばかり。でも自然界で真っすぐな魚は死んでいる状態ですよね。もっと生命感を表現したいと思い始め、木彫りを始めて半年くらい経った頃から、体をくねらせて、鰭にも動きを付けるようになりました。

これで断然生命感が出てきます。生命感が出てくると、水の中をゆったりと泳ぐ姿が彫りたくなりました。それで考え出したのが、真鍮の棒で魚を宙に浮かすことです。一時、このスタイルでマンタ、ジンベイザメ、写真のピラルクー、海亀を彫った時期があります。

木彫りを初めて1年ちょっと経った頃には水の中での浮遊感を表現したいと強く思い始めました。写真を見ながら、如何に重力を感じさせないかに腐心しました。努力の甲斐あって、皆生命感と浮遊感を感じさせる作品になりました。その中でも写真のピラルクーは秀逸。多分もう一度彫れと言われても出来ないと思います。私のマスターピースになるかもしれません。

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